曙ブレーキのADR整理

財務諸表分析
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昔から名前を知っているくらい大きな会社でしたので、ニュースで出てきた時にはびっくりしました。売上も2,500億ほどありますからね。

トリガーは、北米事業の業績不振から、一部銀行が返済を迫ったことが影響しているようです。なお、ADRですから、いきなり会社をたたむとかそういう話ではなく、支払猶予などの要請を行うというものです。

  • 事業内容は?

ブレーキ産業です。自動車だけではなく鉄道など幅広く使われ、また自動車でもモデルが異なるとそれに合わせてブレーキも変わるはずですから、汎用品というわけでもなさそうです。

  • そんなに財務状態はまずかったのか?

会社HPより持ってきました。かなり厳しいですね。自己資本が2016年3月期に一気に下がっています。この時北米の自動車の販売は好調だったようですが、これに応えるための生産体制が整備できていなかったようです。(当時の株主総会資料には、人員体制やら緊急輸送といった言葉が書かれています)

  • かなり大型投資をやったのはなぜか?

こちらの記事に少し記載がありました。

北米は、2009年にボッシュから買収した工場が、なかなか振るわなかったとのこと。

確かに、2009年3月期から大きく下がっていますね。これはリーマンショックの影響を受けての減損損失かと思いますが、同時期に借入金を増やし、上記に記載したボッシュからの買収がありました。(これによりシェア拡大を目指す)

そして、リーマンショック後は北米の景気が回復し、(ここまでは想定通りだったかと思いますが)実際には生産体制が整わないまま進んでしまったようです。(その問題が現在まで残っています)

さらに電気自動車なども出てきましたから、需要はさらに増える一方と厳しい状態だったんだろうと思います。(需要があるのに捌き切れないのは厳しいですね。)

  • どこかで防げなかったのか?

せめてボッシュからの買収案件が、株式発行によることができれば、結果は違ったかもしれませんが、当時のリーマンショック後では市場からの調達もできなかったのかもしれません。

また売上は伸びているため、コスト面を改善できればokと長期的な視点で経営していたのだと思います。ただ、ROICはWACCを超えていないでしょうから、そこで現在価値を出すと、おそらく厳しい状態だったんではないでしょうかね。(2012年3月期の減損はそれか?)

減損を実施するということは将来計画が描けていない部分を減損する訳ですから、減損実施済みの工場については経営上どうするかはもう少し検討してもよかったかもしれません。

この辺りは、会計上は、減損してしまうとあまり論点とならなくなりますが、経営上は、企業価値を損なう投資となっていますから、継続するだけの価値があるかどうかがポイントになります。(ただ売上が上がっていれば楽観的にはなりますよね。)

また10年近く経過していますからもう少しドラスティックに事業整理できていれば、結果は違ったかもしれません。

ともあれ、企業価値を毀損するビジネスは、リスクの高い案件となりますから、どこかで資本政策を変えておけばよかったのかもしれないですね。

  • 銀行側からすると、

しかし、銀行からすると、ADRになるくらいだったら、わざわざ借入金の返済を迫る必要もなかったんじゃないかと思うのですが。引当金も追加計上しないといけないでしょうし。なんて思っていましたが、法的整理するよりも回収可能性が高いと判断したため、このような行為をとったのかもしれません。

ADRについてはこちらを参考にしました。

スポンサーを募って、採算の悪いところを清算するシナリオになるのかなと思いますが、状況を今後も見てみたいと思います。

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